以前、オーストラリアから見た航空連合に関する記事を書きました。
まとめると、
①カンタスを中心としたワンワールドwithエミレーツの連合が圧倒的に強く
②エティハド、スカイチーム(デルタ航空)、スターアライアンス(シンガポール航空、ニュージーランド航空)の三者がヴァージンオーストラリア航空に相乗りして対抗している
という構図でした。
では、逆に中東からオーストラリアを見ると、どういうふうに見えるのでしょうか。
これまた違った景色が見えてきます。
いわゆる中東三兄弟(エティハド航空、エミレーツ航空、カタール航空)それぞれの立場から見ていきます。
(目次)
1.エティハド航空
まずはエティハド航空から見ていきます。
エティハド航空のやり方は極めてオーソドックスです。
エティハド航空の本拠地アブダビ(AUH)から飛んでいる自社運航便のオセアニア便は以下の4路線です。
アブダビ(AUH)-シドニー(SYD)
(1日2便)
アブダビ(AUH)-メルボルン(MEL)
(1日2便)
アブダビ(AUH)-ブリスベン(BNE)
(1日1便)
アブダビ(AUH)-パース(PER)
(1日1便)
んで、そこから先のオセアニア各都市へは、ヴァージンオーストラリア(VA)やニュージーランド航空(AZ)と提携して細かく対応をしています。
その結果、オセアニアのほとんどの都市に乗り継ぎ1回で行くことができるという状況になっています。
いわば、
「飛ばぬなら、仲良くしよう、鉄の鳥」
ですね。
無理せず、仲良くやっているように見せて、実はいつの間にか支配をしているという感じです。
現に、ニュージーランド航空やシンガポール航空とともにヴァージンオーストラリア航空に出資しています。
戦国時代に例えるのなら、家康的なやり方だと思います。
さらに言うと、エティハド航空は盛んにM&Aをやっていて、以下の航空会社を傘下に収めているか特別のパートナーシップ関係にあります。
・アリタリア航空
・エアベルリン
・ジェットエアウェイズ
・エアセルビア
・セーシェル航空
・ニキ航空
・エティハドリージョナル
これらをまとめてEtihad Airways Partnersと呼んでいます。
第4のアライアンスと言ってもいいかもしれません。
エティハド航空の公式サイトでも以下のように紹介されています。
「エティハド航空パートナー航空会社は8社間の特別なパートナーシップです。より多くの選択肢を提供する目的で各社が参加した、6大陸の400以上もの都市を網羅したネットワークです。」
エティハド航空は2008年の金融危機の時でも経営に支障がなかったようで、体力十分なので、いずれ、4大アライアンスと言われるぐらいになるかもしれませんね。
ですが、アリタリア、エアベルリン、と負のオーラが続いています。
今後、この第4のアライアンスがどうなるか、見ものですね☆
2.エミレーツ航空
次に、エミレーツ航空です。
エミレーツ航空のやり方は、かなり変わっています。
エミレーツ航空の本拠地ドバイ(DXB)から飛んでいる自社運航便のオセアニア便は以下のとおり多数かつ複雑にあります。
【sin-dxb-bkk-syd-dxb-bne-dxb-mel-sin-bne-akl-mel-dxb-syd-chc】
ちょっと分かりづらいので2つに分割します。
ちなみに、オークランドはAKL、クライストチャーチはCHCです。
2-1.オーストラリア直行便ルート
ドバイ-シドニー(1日3便。うち1便はカンタス運航便)
シドニー-クライストチャーチ(1日1便)
ドバイ-メルボルン(1日4便。うち1便はカンタス運航便)
メルボルン-オークランド(1日1便)
ドバイ-ブリスベン(1日1便)
ブリスベン-オークランド(1日3便。うち2便はカンタス運航便)
【chc-syd-dxb-mel-akl-bne-dxb】
2-2.バンコク(BKK)経由ルートとシンガポール(SIN)経由ルート
バンコク-シドニー(1日2便。うち1便はカンタス運航便)
シンガポール-ブリスベン(1日2便。うち1便はカンタス運航便)
シンガポール-メルボルン(1日3便。うち2便はカンタス運航便)
【syd-bkk-dxb-sin-bne-sin-mel】
いずれも以遠権を駆使して自社便を飛ばしまくっています。
(念のためですが、厳密な意味で以遠権という言葉を使っているわけではありません。うまく繋がるように記載しただけです。)
いわば、
「飛ばぬなら、寄ってみせよう、鉄の鳥」
ですね。
これに加えて、オーストラリア国内では、もちろんカンタス航空と提携しています。
オーストラリア国内でのカンタス航空との提携により、さらに細かい路線網を構築していると言って良いです。
支配できるところは支配し、手の及ばないところは仲良くする(ふりをする)という感じです。
戦国時代に例えるなら、秀吉的なやり方と言えると思います。
3.カタール航空
最後にカタール航空です。
カタール航空のやり方は、飛び抜けています。
最初に戦国時代に例えます。
ということは、、、
はい、信長的なやり方です。
「飛ばぬなら、飛ばしてしまえ、鉄の鳥」
【syd-doh-mel-doh-per-doh-adl-doh-akl】
現在の世界最長路線である、ドーハ(DOH)-オークランド(AKL)便(片道約15時間!)を初めとして、直行便をガンガン飛ばしています。
ドーハ-シドニー(SYD)
(1日1便)
ドーハ-メルボルン(MEL)
(1日1便)
ドーハ-パース(PER)
(1日1便)
ドーハ-アデレード(ADL)
(1日1便)
ドーハ-オークランド(AKL)
(1日1便)
力(オイルマネー)に任せて、鉄の鳥(飛行機)を飛ばしまくっています。
同じワンワールドのカンタス航空なんてアウトオブ眼中です!
そして、世界最高と言われるエアラインとなっています。
まさに派手好きな信長ですね。
もっとも、こんなやり方しているので、戦国時代とも言える中東において村八分にされてしまうのでしょう。
4.まとめ
ということで、中東三兄弟のオーストラリアへの飛ばし方を見ると、やり方が全然違うことが分かりました。
その中でも、勝ち組はなんといってもやはりエミレーツ航空でしょう。
以遠権を駆使していることに加え、カンタス航空と密接な提携関係を築いていることが、その理由です。
我らがJALマイラーにとっては、提携社特典で取れるエミレーツが強いということは嬉しい限りですね☆